「気づいたときには手遅れ」という盲点

備えたい気持ちはあっても、なかなか行動に移せない人は少なくありません。「おひとりさま」ならではのリスクと、目に見えにくい心理的なハードルが存在しています。数字の裏にある感情にも目を向けて、深掘りしてみましょう。

まず見逃せないのが、病気や介護などのイベントが起きた時に、「自分の代わりがいない」という現実です。例えば、フルタイムで働く40代の独身女性Aさん。70代の母親の在宅介護に限界を感じ、介護離職をしたいと考えました。しかし、生活費を試算したところ、月3万円以上足りない。「これでは、退職金を取り崩しても数年しかもたない」と、Aさんは愕然としたそうです。

また、高齢になるほど「ひとりの壁」は想像以上に高くなります。例えば、70歳独身男性Bさんが脳梗塞で入院した際、身元保証人がいないという理由で転院も施設入所も断られて、行き場を失ってしまいました。行き先が決まらず、社会的入院として病院に長期滞在するしかなかったそうです。