ボーナス原資を基本給に充当し、初任給を引き上げる動き

こうした一連の措置で初任給を引き上げるためにボーナスを抑制しようとしているのは明らかだ。実はボーナス原資を基本給に充当し、初任給の引き上げを実施している企業は同社だけではない。例えば初任給を3~5万円と大幅に引き上げると、先輩社員との給与の逆転現象が発生する。そのため少なくとも20代の社員は逆転しないように給与を調整する必要がある。

もちろん初任給引き上げ率と同様に社員全員を底上げすれば問題はないが、当然人件費が増大し、経営を圧迫しかねない。給与が逆転しないためには入社2年目以降の社員は初任給のアップ率と同率の賃上げを実施していき、年齢が高くなるにつれて賃上げ率を徐々に引き下げて調整することになる。ただし、30代社員の給与の引き上げ率は若手に比べて低くなり、数千円程度の上げ幅にしかならない。