理解されない「葛藤」と反抗心

住井さんが三井物産へ入社したのは1966年。慶応大学経済学部4年生の時に英検1級を取得し、卒業後に商社マンになった。傍から見れば順風満帆なエリートコースだが、住井さんの中には葛藤があったという。

実は、祖父の住井辰男は戦前の旧三井物産で社長を務めた人で、父も三井物産の役員という家庭の長男として育った。同じ会社には行きたくなかったので、家族に黙って、興味があった船舶会社も受けていた。だが、それを知った祖父の大反対を受け、最終的には三井物産へ入社することに決まる。

「社内ではどこへ行っても『住井』という名前がつきまとう。それが嫌でたまらず、入社してしばらくは反抗心を抱えていました。でも、それじゃあ毎日楽しくない。組織に縛られず好きなことをやるために、いっそ外部で『三井物産』の名刺をとことん利用してやろうと考えを改めてね」