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50代の破綻危険度

次に水道光熱費。電気のつけっ放しをやめ、節水を心がけることで月々7000円のダウンに成功。わずかな額に見えても年間にすれば食費と合わせて44万円強で、馬鹿にできない。

教育費は「できれば減らしたくない」のが親心だろうが、大学生の子には奨学金制度を利用してもらうようにした。また、高校生の子には年払いの予備校代がかかっていたが、予備校は夏期・冬期の講習と模試だけにして、あとは大学受験まで学校の授業と参考書で乗り切ってもらう。長期休みの講習も必須科目のみ、模試も必要最低限に絞ることで教育費を3万円削った。

夫の生命保険も見直した。子どもが大きくなれば高額な死亡保障は必要ない。死亡保障額を減らしていい時期は大きく3つある。(1)住宅ローンを借りて住宅を購入したとき、(2)子どもが就職して独立したとき、(3)定年退職をしたときだ。まだ子どもは独立していないが、もう死亡保障は減らしていい時期だろう。

通信費、交際費なども少しずつ減らし、貯蓄やボーナスからの補填は約20万円から2万円に9割カット。最終目標は赤字を出さないことだが、ここまでくればあとはラクなはずだ。

Dさんの場合、あと2年で住宅ローンの支払いが終わり、住居費の負担がなくなる。9万8000円をそのまま貯蓄に回せば58歳からの2年で約240万円となる。

夫が60歳まで働くとすると、ボーナスがもらえるのはあと4年間。42万円×4年=168万円には手をつけず、なるべく取っておく。これで約400万円が貯まる計算になる。もちろん60歳以降も健康なら働いて、できる限り老後に備えよう。

これから1100万円くらいの資金がつくれれば、現在の貯蓄額と合わせて1500万円になる。厳しいことは厳しいが、年金と合わせると何とかなりそうだ。

年収が高かった人がリストラされたとき、急に生活レベルを落とすのは難しい。そのうえ、50代になると子どももそろそろ手が離れるので自分の人生を楽しむためにお金をかけたい、と考える人も多い。しかし最近は右肩上がりの年収も保証されず、優雅な老後を送れるのは、ひと握りの層というのが現状なのだ。