人は知らないミュージシャンのライブに行くか

映画について考える前に、音楽市場について話したい。音楽産業では、ストリーミング収入とともにライブが収益源の大きな柱となっていることはよく知られている。

ライブというのはコピーできない一回性の体験として、コピーが容易なデジタル時代に逆説的に価値を高めたものの一つであるが、一つ大きな特徴を挙げるなら、そこは基本的に完全な新曲を聴きに行く場所ではないということだ。どんなミュージシャンのライブであれ、盛り上がるのは基本的に誰もが知る定番の名曲であったりする。

そして、一曲も聴いたことのないミュージシャンのライブに突然行くという行動を取る人は少数派だ(行ってみると案外楽しいものだが)。音楽ライブに足を運ぶ人は基本的に、そのミュージシャンとその楽曲をよく知った上で足を運ぶ。