ダブルスタンダードが最も危ない

たとえば、デザイン監修の仕事。引き受ければ利益にはなる。だが、自分たちで責任の持てない製造、顔の見えないものづくりには、「中川政七商店」として関わらないと決めている。実際、他社ブランドのデザイン監修のようなビジネスは断ってきた経緯がある。

「もちろんご依頼いただくこと自体はありがたいと思います。でも、そこに甘えると、一度きりでもダブルスタンダードになる。それが一番危ない。社の価値判断がブレると、会社全体がもろくなる。だからこそ『利益よりビジョン』という順序だけは守り続けています」