胸元に輝く「七つボタン」

予科練の制服には、桜と錨の描かれたボタンが七つ付いていた。この「七つボタン」は「若鷲の歌」の歌詞の中にも見られるように、予科練生のシンボルとして多くの若者の憧憬を集めた。

同年9月、試験に合格した片山さんは、甲種飛行予科練習生(第十五期)として、土浦海軍航空隊に入隊。家を出る際、父親は、「男だでな」と、ぼそりと口にしたという。母親は部屋の隅で涙をいていた。村の人たちは、軍歌を唄って盛大に送り出してくれた。

土浦海軍航空隊基地跡(1947年)
土浦海軍航空隊基地跡(1947年)(写真=国土地理院/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

こうして始まった憧れの予科練での生活だったが、そこでの訓練は過酷なものだった。毎日のように教官からビンタされたが、革のスリッパで側頭部を殴られたこともある。その後遺症で、左耳は遠くなった。