住宅問題にくわしい秋野卓生弁護士によると、リフォームに関するトラブルのうち「ほとんどは完成後の瑕疵の有無について争われる」という。多くの場合、施主側は「残金を払わないぞ!」と出ることになる。その根拠は「施主は瑕疵の修補に代わり瑕疵補修費用の賠償を業者に求めることになり、その金額に相当するお金について支払いを拒むことができる」(秋野弁護士)というものだ。だからこそ「瑕疵の有無」が争点になる。

工事内容の追加・変更は無料ではない!費用負担が大きくなりそうな場合は工事を中断してでも相談すべし。

工事内容の追加・変更は無料ではない!費用負担が大きくなりそうな場合は工事を中断してでも相談すべし。

施工中にトラブルが起きることもある。この段階では業者側に「完成義務」があるため、施主の声は比較的通りやすい。だが、争いが高じて喧嘩別れするとなれば話は別だ。

たとえば「釘の打ち方がずさんだから、お宅(業者)にはもう頼まない!」と啖呵をきったとしよう。これは瑕疵の程度がひどく、契約の目的を達成できないようなことがないかぎり「施主都合による解約」となり、施主は業者側への損害賠償義務を負わされる。実費程度の負担で済むならまだしも、話がこじれたとしたら、利益分を上乗せした相当の金額を請求されてもおかしくはない。

着工前のトラブルについても触れておこう。工事の発注後(かつ着工前)に、なんらかの事情からこれをキャンセルするという場合がある。

訪問販売で契約したときは、8日間以内ならクーリングオフによっていつでも解約できる(特定商取引法)。また、契約内容が不当であれば、消費者契約法によって契約そのものを取り消すことが可能。その他のケースでも、契約内容にしたがって契約解除の手続きをとることができる。

着工後のトラブルでは、施主側が完璧を求めて神経質になりすぎるケースもあるようだ。リフォームはあくまでも手作業なので「多少の難点は大目に見るべき」と専門家は口をそろえる。そのうえで、業者との関係を良好に保ち、メンテナンスなどのアフターサービスを受けやすいようにするほうが、「結局は施主さんにとっても得になる」(御前氏)というのだが……。

(撮影=田中克佳)