失敗に対するポジティブな姿勢

当時のIDEOは国際的に高い評価を受けていた小さなイノベーション・コンサルティング会社で、世界中に12の「スタジオ」を有していた。設立されたのは「フェイル・ファスト(速く失敗せよ)」の哲学が浸透しているシリコンバレーの中心部にあるパロアルトだ。1991年にスタンフォード大学の工学教授デビッド・ケリーと著名な工業デザイナーのビル・モグリッジがそれぞれの小さな会社を合併させたのがはじまりだ。

以来IDEOの従業員はさまざまな専門分野にまたがるチームを組み、驚くほど多様な家庭用、商業用、工業用の製品、サービス、環境をデザインしてきた。

広く使われているイノベーションの例を挙げると、コンピュータ用マウス(当初はアップルのために設計・開発された)、個人用ビデオレコーダー「TiVo」用にデザインされた親指を立てたり下げたりするサイン(今ではソーシャルメディア・プラットフォームで当たり前に使われている)、イーライリリーのためにデザインした使い捨ての充填済みインスリン注射器などがある。