屋台のラーメンにも挑戦したい
その一方で、自分たちで屋台を引いて、ラーメンを食べていただくこともしたい。きれいな店で食べるのもいいけれど、大空の下ですするラーメンもうまいもの。気取らないのもラーメンの魅力の一つ。
屋台で出すラーメンは最先端のものでなくていい。ちぢれた細麺のすっきりしたスープ。鶏はブロイラーで豚の骨は輸入品でもいい。でも、飯田商店のエッセンスは入っている、ちゃんとしたラーメン。
ラーメン屋の原点は屋台にある。原点を肌で知らずしてラーメンを語ってはいけないと思っている。
現在の「飯田商店」はただの通過点
ラーメンが日本の国民食と言われるようになって久しい。ミシュランにも取り上げられるようにはなった。味も技法も発展した。しかし、僕はラーメンを日本の文化としてもっと重いものにしたい。
おいしいラーメンを出す店はたくさんできた。しかし、その中で、ラーメンのど真ん中をやっている人は案外少ない。ラーメンのスープの基本は鶏ガラと豚の骨だ。そして麺を自分でつくる。
ラーメンには、先達が築いてくれた仕事があり、食材の構成がある。100年の積み重ねがある。どの先輩が店に来ても「おう、飯田! がんばってるな」と言われたい。
皆さんがやってきてくれた積み重ねがあって今がある。そこに敬意を払い、全部を背負うくらいの覚悟だ。日本のラーメン文化を、寿司や蕎麦などと同様の、確かなものにしていく。これは佐野実さんの遺志だとも思う。
ラーメンの横への広がりは、寿司や蕎麦と変わらないかもしれない。しかし、高さが足りない。飯田商店が、過去から未来への一つの架け橋になって、ラーメンの伝統をつくり、さらに発展させていくことに貢献したい。
現在の「飯田商店」は到達点ではなく通過点に過ぎない。開店してから15年。ラーメンをどうしたら少しでもおいしくすることができるか、常に考えてきた。これは終生、変わらない。

