留学時代は同級生から「最も転職しそうにない人」だと思われていた宗像。しかし、生真面目な性格だからこそ将来を突き詰めて考え、行動するときは慎重かつ大胆なのである。
ITベンチャーを辞めて自ら起業すると言って挨拶回りをしたら、「暇なら手伝ってよ」と仕事を回してくれる人たちがいた。今も宗像は自らの会社を経営する傍ら、知人の会社からEコマースなどの新規事業立ち上げ業務を個人で請け負って定期収入を得ている。
「個人と個人の関係性で仕事ができる時代になってきたと感じています。だからこそ、きちんとパフォーマンスを出すことは不可欠です。私は求められるレベルの120%ぐらいの成果を出すことを心がけています。相手に満足してもらってこそ次があるのですから」
大企業の一員だったときは自分の能力や成果が数字で見えにくく、守られた立場ながらもぼんやりした不安に悩み続けていた。独立し、会社の名前に頼れない今、眼前の空気は澄んでいる。
受けた仕事はやり遂げるしかない。逃げたら先がない厳しい世界だ。しかし、面白そうなビジネスを考えついたら、すぐに企業にもちかけて、自分の会社で手がけることができる。会社員のときのような制限は一切ない。
今、富士通の同期より稼いでいるという宗像だが、働く目的は金ではない。
「お金は必要だけど目的ではありません。世界も日本も変わっていく中で、自由な立場でそこに関わっていくことが私の働く目的です。今はブームのソーシャルメディアも、10年後はビジネスにならないかもしれない。だから、どんな人材なら必要とされるのか、常に意識しています。個人的には起業と海外留学を増やすことが日本をよくする近道だと信じているので、自分の会社でそのためのサービスをつくりたいと思っています」
気負いなく淡々と語る宗像に、日本人ビジネスマンの新しい力を感じずにはいられない。