製麺から始めた

最初は、製麺をやりたいと思い、近所のお蕎麦そば屋さんから小さな製麺機を手に入れた。

使い方がわからないから、自家製麺の本を買って読んでいたら、そのうちの1冊の後ろに広告があった。佐野実さんが腕組みをしている写真があって、エヌアールフード、食材卸と書いてある。そこに内モンゴル産かんすいがあった。

かんすいはネットで買っていたので、それが欲しいと思ってすぐに電話をした。そうしたら女性が出て、「はい、佐野です」と。たまたま従業員のお名前が佐野さんなのかなと思ったら、それが奥さまの佐野しおりさんだった。

「何か聞きたいことがあれば来なさい。教えてあげるから」

「ラーメンを始めて、麺をやりたくて……」と話したら、「あら、そうなの? 今、佐野が隣にいるわよ。変わる?」と。びっくりして「いや、無理です」とお断りしたけど、電話を変わってくださった。

「なんだ。麺をやるのか?」
「はい!」
「ローラーは何寸だ?」
「わからないです。何寸とかあるんですか?」
「そういう感じか。最低でも8寸はないといい中華麺はできないな。小さいローラーだと苦労するだろう、できないことはないけどな。どこの子なんだ?」
「湯河原です」
「湯河原には大西さんがあるな。まあ、がんばって。いつでも何か聞きたいことがあれば来なさい。教えてあげるから」

電話で話したのは1分ほどだったが、僕にとってはすさまじい時間だった。また、しおりさんに電話を変わってもらい、「いつの日か必ず行きます」と約束をして切った。