2010年3月16日に開店
最初からボロボロの店だったけど、ラーメンを始めて7年半。自分の店「らぁ麺屋 飯田商店」ができた。32歳だった。うれしかった。
僕はラーメンの試作に没頭していたので、大した準備はできなかった。とにかく支那そばやさんが使っているどんぶりをエヌアールフードから10個だけ買ってのスタートだった。
「らぁ麺屋 飯田商店」のテーマは「水と鶏」を掲げた。いま振り返ってみて正確にいえば「水と鶏と醤油」だ。
水とは、逆浸透膜システムの、ほぼ純水に近いものでスープをとる、ということ。逆浸透膜を通した水は、スッキリとクリアな味のスープをつくることができる。素材の味をよく引き出すことができる。しかし、味に厚みがなくなるので、スープとしては物足りなく感じる難しさがある。
お金がないから、家庭用の機械を月賦で買った。逆浸透膜システムの水は、支那そばやの佐野実さんを手本にしたものだ。それはいまでも続けている。
試作に試作を重ねた
鶏とは、比内地鶏のガラのこと。豚の骨を使わない、かつお節や煮干しなどを加えない、ましてや化学調味料などを使わない。お金がないから比内地鶏のガラ以外の贅沢はできなかった。使うのは鶏ガラと鶏油だけ。これで十分な旨みを出すことには本当に苦心した。
しかし、だからこそ試作に試作を重ねていく面白さがあった。
鶏ガラの旨みをいかに、きれいに引き出すか。これを積み重ねていくことができた。豚などを使わずに鶏だけでおいしいラーメンスープをつくる、という自らへの課題は9年も続けることになった。
醤油は、「しょうゆらぁ麺」の醤油だれに使う醤油のこと。生き揚げ醤油という、醤油蔵で醸造した搾りたてのものを醤油蔵から仕入れた。これも佐野実さんが使っていたものだ。いまは8種をブレンドしているが、当初は3種だった。
