※本稿は、江森敬治『悠仁さま』(講談社ビーシー/講談社)の一部を再編集したものです。
39歳、現皇室の最高齢出産だった
「帰ってまいりました……」
その日午前、手術室で無事に出産を終え、病室に戻った紀子さまを秋篠宮さまは温かく迎えた。笑顔で答えた紀子さまの言葉にようやく訪れた、深い安堵感が感じられた――。
2006年9月6日午前8時27分、秋篠宮ご夫妻に男の子が生まれた。身長48.8センチメートル、体重2558グラムの親王さまだった。皇室にとっては1965年11月30日、秋篠宮さまが生まれて以来、じつに41年ぶりとなる男子の誕生。国民は大きな喜びに満たされた。
現行の皇室典範では、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と定められており、女性皇族は天皇になれず、結婚すると皇室を離れることになる。
こうした男性優位の皇室にあって1969年4月18日、秋篠宮さまの妹である黒田清子さんが誕生してから、2001年12月1日、天皇、皇后両陛下の長女、敬宮愛子さままで、じつに連続して9人の女性皇族が生まれ、皇位を安定的に継承する上で危機的な状況が続いていた。
このとき、紀子さまは39歳で、現皇室の最高齢出産となった。紀子さまは1966年9月11日生まれなので、5日後に40歳の誕生日を迎えた。皇后雅子さまは、愛子さまが生まれたとき、37歳で8日後に38歳となった。もし、第二子を出産していれば、現皇室の最高齢出産を更新していたかもしれない。
部分前置胎盤で帝王切開
報道によると、東京都港区の愛育病院に入院していた紀子さまは、胎盤の一部が子宮口をふさぐ「部分前置胎盤」だったため、予定日より約20日早い帝王切開での出産となった。
帝王切開手術は、この日午前8時23分に始まり、同9時7分に終了した。予想外の大量出血などもなく、「母子ともに手術後の経過も順調」(医師団)で、手術室を出た紀子さまを秋篠宮さまが優しく出迎えた。それが先ほどのやりとりで、「ごくろうさんでした」と、殿下がねぎらうと、紀子さまは「帰ってまいりました」と、明るく答えたのだった。