相手の気持ちを尊重しつつ、誘いを断るにはどうしたらいいか。感性リサーチ代表の黒川伊保子さん解説の書籍『失言図鑑』によると「何かを断るときに『大丈夫です』や『結構です』と言うのはNG。まずは厚意に対する感謝もセットで伝えるといい」という――。

※本稿は、失言研究所(編集)、黒川伊保子(解説)『よかれと思って言ったのに 実は人をモヤッとさせる 失言図鑑』(サンクチュアリ出版)の一部を再編集したものです。

手を突き出して拒否するビジネスマン
写真=iStock.com/kuppa_rock
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相手の厚意を断りたいとき

*失言かも:「大丈夫です」

断りの意味の「大丈夫です」は、比較的最近使うようになった言い回しです。年配の人には伝わらないこともあるので、注意が必要。

「レジ袋はご利用ですか?」「大丈夫です(=いりません)」のように、断りの意味で「大丈夫です」を使うことがありますよね。実は、この「大丈夫です」は、比較的最近の言い回しです。もともと「大丈夫」には、「安心できる、しっかりしている」という意味がありますが、これがいつしか「配慮はいらない」=断りの文句へと変化。特に、対人関係の衝突をなるべく避けたい若い人が使うようになったようです。

そのため、年配の方には通じないことも。「もっとたくさん食べられる?」と聞かれ、「大丈夫です」と断ったつもりでも、「まだまだ食べられます」という肯定の意味で受けとられかねないのです。

断るなら「いいです」「いらないです」などとはっきりさせたほうが、コミュニケーションはスムーズにいきます。もちろん、厚意に対する感謝もセットで伝えてくださいね。

〈言うならこっち〉
いいです、ありがとうございます

相手の厚意を断りたいとき

*失言かも:「けっこうです」

間違いではありませんが、「拒否」の意向が強く伝わり、思った以上に冷たく聞こえる言い方です。

「食べ物をすすめられたけど、もうお腹がいっぱい」「先輩が仕事を手伝うと言ってくれているけど、自分の力でやりたい」……そんなときの断り文句、「けっこうです」。

「いいです」や「大丈夫です」などと比べると丁寧で、ビジネスシーンにもふさわしく思えるフレーズですが、少し注意が必要です。「けっこうです」は、自分にそんなつもりはなくても、相手をピシャリと拒んでいる印象があり、必要以上に冷たく聞こえます。特に、目上の人には使わないほうがいいでしょう。

そして、おかわりや、仕事のサポートそのものは断るにしても、「お気持ちだけいただきます」「お気づかいありがとうございます」と、相手の厚意には感謝を示すのが礼儀です。

〈言うならこっち〉
お気持ちだけいただきます