163万円も年収アップしたパチンコ関連企業

5位は工作機械や小型プリンター、精密部品などを手掛けるスター精密。平均年収は前年から59.5万円増加し、998.6万円。「グローバルニッチ戦略」を掲げ、1000億円規模のニッチ市場で10%以上のシェアを手堅く獲得している。

電気計測器を手掛ける6位の日置電機は997.5万円(同17.1万増)で、スター精密と並んで惜しくも「1000万円の壁」を超えられなかった。

TOP10のうち、平均年収が大きく伸びたのは8位のダイコク電機。前年から163.4万円も増額し、平均年収は958.8万円となった。パチンコ・パチスロホール向けの機器開発や販売などを展開している。

売上高は昨年度から318.2億円→538.6億円、営業利益は40.2億円→120億円に増加している。業績好調の要因は、持ち玉やメダルに触れずに遊戯できる「スマート遊技機」導入が各ホールで進んだこと。これに伴い、同社のカードユニットや情報公開端末の販売台数が好調に推移した。また、新紙幣流通に先駆けての対応需要も影響したという。

有価証券報告書を確認すると、前年と比較して「給与及び賃金」よりも「賞与」の伸びが大きい。特に役員賞与引当金は約4倍に膨らんでいる。

警察庁発表資料によると、2023年末時点のパチンコホール数は7083。30年前の1993年比で6割以上の減少となっている。こうした中で、大幅な年収増を実現した。

中部にある世界的企業

TOP200のうち、平均年収が100万円以上増加した企業は7社。そのうち増加幅が最も大きかったのは13位の日本特殊陶業だ。

スパークプラグで世界トップシェアを誇り、排ガスセンサーでも高いシェアを有している。固体電池の開発といった「本業」周辺のビジネスだけでなく、2024年には全額出資する新会社を2024年7月に設立し、エビの陸上養殖事業に乗り出すなど、事業の多角化に取り組んでいる。

同社の平均年収は204.4万円増え、894.0万円。ただしこれは、前年から算定対象が変わり、正社員のうち「地域限定社員」「短時間勤務者」「休職者」を除外したことが理由だ。同社によると、給与制度は大きく変更していない。

反対に減少幅が最も大きかったのは、フジミインコーポレーテッド。精密研磨剤などを手掛け、半導体シリコンウエハー向けでは世界トップシェアだ。売り上げの多くを同領域が占めるが、コロナ禍の反動が一服して2023年3月期はニーズが落ち込んだ。平均年収も271.7万円減少し、815.1万円となった。

減少額が2番目に大きかったのは、北國FG。112.3万円のマイナス(814.6万円)となった。有価証券報告書によると、組織変更によって前年から人員が100人近く減少している。持株会社に所属する従業員の範囲を変更した結果だといい、平均勤続年数が1年以上減った。

一方で給与・手当は6億円近く増えており、2022年には「キャリア型人事制度」として待遇見直しも実施していることからメリハリのある待遇に向けた改革を進めているとみられる。