心に余裕がないと、繊細な味わいは感じにくい

私の場合は、まわりに物が少なく、色が少ない場所が集中しやすいです。

リラックスしていることも大切です。例えば「時間がなくて焦っている」「心配事で頭がいっぱい」「けんかして怒ったり泣いたりした直後」といった状況では、チョコレートにじっくり向き合う余裕がありませんよね?

「とりあえずチョコでも食べて、少し気持ちを落ち着けてくださいね」と言いたくなる状況です。

心に余裕がないと、繊細な味わいは感じにくいもの。まずは自分自身を整え、それからチョコレートに向き合えるといいですね。

さらに、人によっては音も影響します。私の場合、多少の騒がしさは気になりませんが、不意に誰かに話しかけられるような環境では集中できません。

あとは、ほどよく空腹な状態が理想的です。お腹がすきすぎていると勢いよくチョコレートを食べてしまい、じっくり味わう余裕がなくなってしまいます。

五感でチョコレートと向き合う

「味わう前の準備」が整ったら、五感でチョコレートをキャッチしていきます。

ここでは板チョコレートを味わうことを想定しています。

まず、視覚と嗅覚、つまり目と鼻を使いましょう。

③見る:チョコレートの形、色、厚み、艶、パッケージに注目する
④嗅ぐ:チョコレートを鼻に近づけ、香りを確かめる

チョコレートをぐるりと見て回るようなイメージです。チョコレートの表面が白っぽくなる「ブルーミング」が起きていないかも確認しましょう。板チョコの厚みや形もチェック。パッケージに書かれている、カカオや原材料の情報にも目を通しましょう。

次に、チョコレートをすぐにパクッと口に入れず、鼻を近づけてみてください。10秒ほどでさまざまな香りをキャッチできます。

つづいて、いよいよチョコレートを味わいます。

⑤広げる:チョコレートを口に含み、ゆっくり溶かしながら風味を広げる
⑥味わう:苦味、酸味、甘味など、チョコレートの味を感じる

チョコレートをしばらく口にとどめておくと、体温で自然に溶けていきます。厚めの板チョコレートなら数回軽く噛んで、薄いチョコレートは噛まずにゆっくり溶かしましょう。

チョコレートを食べる女性
写真=iStock.com/apomares
※写真はイメージです

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