キスやセックスどころの話ではない

ただでさえ社会が高度に倫理化して、ハラスメント意識や人権意識がアップデートして、異性交流が法的にも社会的にもハイリスク化して、疑似恋愛・擬似的承認が得られる娯楽コンテンツが隆盛を迎え、若い世代にとっての「自由恋愛」の訴求性が相対的に右肩下がりだったところに、追い打ちとばかりに「コロナ騒動」が直撃してしまったのだ。キスやセックスどころか、異性とのコミュニケーションのための「基本セット」を持たないかれらがやがて妙齢になったころ、国や自治体は彼・彼女たちの“草食”っぷりに度肝を抜かれることになる。

国や自治体は大慌てで対策を講じ、年頃の彼・彼女たちを出会わせるキャンペーンを展開するなど頑張るだろうが、はっきり言ってそのときにはもう手遅れになる。かれらを強制的にパーティー会場に放り込んでも、お互いもじもじして終わる。かれらは「出会いがない」から恋愛や結婚に消極的なのではなく「性的に成就することを目指すためのコミュニケーションモード」がもとよりインストールされていないから異性とかかわろうとしない(できない)のだ。

基礎的手続きのインストールの機会を奪ってしまったのは十数年前の自分たちだったのだと、そのときになってようやく世間は気づく。

ハート形のオブジェを持つカップルの手元
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

十数年後には「悲惨な統計」で答え合わせがなされるだろう

「他者(異性)」を経験するべき時機に経験できなかったこと、かれらからその基礎経験や機会を私たち大人の都合で奪い去ってしまったことは、遅くとも十数年後には「コロナ直撃世代」の恋愛や結婚や出産にまつわる悲惨な統計という形で“答え合わせ”がなされるだろう。

子どもたちの体験や経験や機会を「感染対策」の名目で著しく制限した「コロナ騒ぎ」さえなければ、恋愛や結婚は大得意というほどではないけどとりあえず最低限のリテラシーを持ち合わせている人にはできたかもしれないのに、私たちはそうなる道を選択しなかった。

語弊をおそれず言い換えるなら、それほど恋愛強者でもないごくごく平凡な彼・彼女らが出会い、結婚し、そうして生まれるはずだった未来の子どもたち――そんな未来の可能性を切り捨ててまで私たちが必死に守ったのは80歳台(≒新型コロナウイルス感染症による平均死亡年齢)の人びとの命だったともいえる。

私は「中高生がとんでもなく恋愛アレルギーになっている!」とか「最近の新入社員のコミュニケーションがなんか奇妙だ!」と、まるで災厄のように語るニュースも、それを他人事のように眺めるオーディエンスの態度もあまり好きではない。かれらがそういう姿になってしまったことには、私たちが起こした「コロナ騒ぎ」が確実につながっている側面があるからだ。かれらは、なりたくてそんな風になったわけではない。私たちがそうなるよう変えてしまったのだ。

【関連記事】
「子供の前で夫婦喧嘩をしても問題ない」という小児科医が「これだけは絶対に禁止」と力説するNG話題
年収350万円、体重100kg、趣味は「酒、麻雀、バイク、風俗」…52歳男性に結婚相談所が伝えた「残酷なひと言」
上半身裸の「ノーパン喫茶」の人気嬢を徹底取材…「伝説のお色気番組」が地上波で堂々と流していたすごい内容
お米でもパンでもない「朝食のお供」に意外なリスク…医師が警告「血糖値を上げないのに糖尿病を招く」食材の名前
吉原の遊女見習い「新造」は水揚げ前に体を売ることもあった…「おやぢ」客の相手をした少女たちの胸の内