なぜ国立大学助教の仕事を辞め、専業作家になったのか

――ネタを思いついたからといって、小説が書き始められるものですか?

【伊与原】このネタでミステリーが書けるかも! と思ったら、最初の2、3行ぐらいは誰でも書き始められるのではないでしょうか。それを500枚書きあげる人が少ないだけで。そういう意味では、僕はしつこいんですよ、きっと(笑)。ただ、専業作家になってからは、本を出しても重版がかからず、発行部数もよくて5000部という時期が続きました。

――2019年に『月まで三キロ』で複数の文学賞を受賞するまでは、思うように本が売れず、「もう無理かな」と思われたそうですね。それでも“次の一作”を書き続けることができたのはなぜですか。