政治家党首や起業家はトキソプラズマに感染しているのか?
ところで、研究チームは、トキソプラズマのオオカミへの感染の経路に関係するかもしれない、以下のような興味深い事実も見出していました。
公園内には、ピューマが生息する地域がありますが、公園内のオオカミの多くのコロニーの中で、その行動圏がピューマの行動圏と重なる度合いが高いコロニーほどコロニーの全個体数に占めるトキソプラズマに感染している個体の比率が高いというものです。
研究チームは、この事実が生じる理由として、次のような推察をしています。
オオカミとピューマは、北米で同時に進化した肉食類であり、基本的には同じ獲物を捕食対象にしているため、通常は両者は行動範囲が重ならないように積極的に避けていることが知られています。
しかし、ピューマの行動圏に入るオオカミのコロニーがあるということは、そのコロニーの中に、トキソプラズマに感染し行動が大胆になっている個体がコロニーをピューマの行動圏に入らせている可能性もあるのです。
その個体がリーダーの場合もあるかもしれません。あるいは、オオカミの行動圏とピューマの行動圏が近ければ、たまたまピューマの行動圏に入る確率も高くなるでしょう。
いずれにしろ、トキソプラズマの自然最終宿主であるピューマの行動圏に入る機会が多かったオオカミは、トキソプラズマが含まれた糞便などに触れる機会等も多く、感染する機会も多かっただろうことは想像に難くありません。
「えっ? それホント!」と思うようなことも含めて我々ホモサピエンスは自然の動きを知る努力を、好奇心に駆られて、また使命感にも駆られて続けていき、ホモサピエンスと他の生物が共存、共生できる地球を構築、維持していかなければなりません。それしか、ホモサピエンスが地球上で生きていくすべはないのですから。
ところで、読者の方も思われたかもしれないが、政治家で党首になったり、起業家でCEOになったりするホモサピエンスは、トキソプラズマに感染しているのでしょうか。体内、脳内にトキソプラズマのシストがいるのでしょうか。まだ調べた研究者はいません。
① Parasitic infection increases risk-taking in a social, intermediate host carnivore