TOPIC-1 片づけ本はベストセラーの常連

ここ3、4年のベストセラーランキングをみると、「片づけ」に関する書籍が毎年ランクインしていることに気がつきます。

「かたづけ士」小松易さんの『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』、片づけコンサルタント・近藤麻理恵さんの『人生がときめく片づけの魔法』および同書2巻、クラター・コンサルタントのやましたひでこさんによる『新・片づけ術 断捨離』と『不思議なくらい心がスーッとする断捨離』がそれです。書店に行けば、彼(女)らの他の著作、別の書き手による片づけ本、あるいは掃除本をいくつかみつけることができます。

掃除や片づけで人生が変わる、心がスーッとする。分かるような、分からないような気がしますよね。確かに掃除や片づけをすれば物がすっきりし、心もスーッとするという話は何となく分かる。しかし、人生が変わるというのは、どういうことなのか。今週は今挙げた著作を紐解いて、掃除や片づけで人生が変わる、という論理の構造を考えてみたいと思います。

あらかじめ述べておくと、以下で主に述べていくのは、掃除や片づけの具体的な方法ではありません。方法をつぶさにみていくとあまりに煩雑になるということもありますが、社会学を学ぶ私が考えてみたいのは、(1)掃除や片づけという事象にどのような意味が込められているか、(2)それはかつてと今で違うのか、(3)違うとしたらそれはいつ頃どのように変わったのか、ということだからです。このような意図があるため、以下では著者が持つ、掃除や片づけについての「哲学」のような部分に注目していくこととします。