売るためのポイント=付加価値を探す

「どうして売れないんだろう?」と「どうしたら売れるんだろう?」は、同じことを言っているようにも思えます。

どうして売れないのか? どうしたら売れるのか?

似たような問いですが、実は同じではありません。

理由は脳の特性にあります。脳は、問いを与えられるとその正解を探そうとするのです。

どうして売れないのか?
→売れない理由を探す
 ダメなところが見つかる

どうしたら売れるのか?
→売るためのポイントを探す
 付加価値が見つかる

このちょっとした違いに気づかず、ついついAさんのように考えてしまうことは、日常でもよく起きています。

Aさんは売れない理由を考えて、「商品の差別化」「営業の頻度」「価格」という要素を発見しました。そしてその3つの要素を強化すれば売れるはずと思ったのです。

それでも売れなかったということは、お客さん側が欲しかったのは、付加価値だったからではないでしょうか。

「差別化」ではなく「付加価値化」
「営業の頻度」ではなく「営業の付加価値化」
「コストダウン」ではなく「付加価値に見合った価格」

それらは、「どうしたら売れるのか?」という問いをしていればたどり着いた回答です。

営業成績を左右する問いの立て方

問いを変えるだけで、結果は変わります。

問いを立てるときに大切なのは、付加価値を軸に考えることです。

付加価値という軸がないと、営業の現場ではこんなことも起きるかもしれません。

「売れないのは商品のことを詳しく説明できていないからかもしれない」

そう考えて、商品の説明をただひたすら詳しくする。

柿内尚文『このオムライスに、付加価値をつけてください』(ポプラ社)
柿内尚文『このオムライスに、付加価値をつけてください』(ポプラ社)

商品のこだわりやスペックの説明など、売る側の視点であれこれと説明してしまうので、聞かされるお客さん側からしたらちょっとうんざりです。「私の知りたいことだけ教えてよ!」となってしまうかもしれません。

一方で、付加価値軸をもっている人ならばこう考えます。

「売れないのは、お客さんに付加価値が伝わってないからかもしれない。お客さんにとっての付加価値を伝えよう」

この差が結果を左右します。

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