いまだに男性社会のテレビ業界において、テレビ局が接待するべき相手となる大物タレントのほとんどは男性、しかも比較的年齢層高めの男性なわけだから、接待の席には「女性がいないと」ということになりがちだ。となると、自然とプロデューサーたちは担当番組の女性出演者や女性スタッフを中心にメンツを集めて、食事会をセッティングすることになる。

そしてそれだけではない。接待されるタレントの側からも「〇〇アナウンサーを呼ぶことはできないのか」と、番組とは関係ないが日頃からお気に入りだったり、気になっている女性アナウンサーの名前を挙げてリクエストされることはしばしばあるのだ。

なぜ女性アナウンサーによる"接待"がなくならないのか

そうすると局のプロデューサーにしてみれば、名前の挙がった女性アナウンサーをどうしても呼ばざるを得ない状況になってしまう。

これが女性タレントであれば「先方の事情」などを口実に断ることもできるだろうが、女性アナウンサーは局の社員だし、大概はそのプロデューサーの後輩に当たるわけだから、「後輩ぐらいなんで呼べないのか」と大物に言われてしまうと反論しにくい。そうなれば「なんとかお願いできないか」と、多少無理を言ってでもそのアナウンサーに声をかけざるを得なくなるわけだ。

そして、じつは女性アナウンサー側にとっても、こうした「大物タレント接待の席」に参加することは、それほど損な話ではない。背景には女性アナウンサーが置かれた「複雑な立場」がある。

女子アナは「会社員であって会社員ではない」とでもいうべき複雑な立場に置かれている。彼女たちは放送局の局員であるという意味では会社員に間違いはない。

しかし、同僚であるプロデューサーなどの制作系の局員からお声がかからないと基本的に仕事を得ることができない。その意味では多分にタレント的で、局内で営業活動的なものを行わざるを得ない側面からすれば「会社員であって会社員ではない」ような感じでもある。

あたかも個人事業主であるタレントのように「自分の仕事は自分でゲットする」ことが求められている部分があるからだ。

 
東京お台場にあるフジテレビ社屋(写真=Khafre/CC-SA-3.0/Wikimedia Commons

背後にある日本特有の「女子アナ」問題

そうした意味では、自分に仕事をくれる可能性がある「局内の有力者」の申し出は断りにくい。局内有力者とは友好な関係を維持しなければ「発注」が来ないのだ。

そして、当然大物タレントとの関係も良好に保たなければ、いつ自分の仕事に差し障りがあるか分からない。そもそも新番組のキャスティングを決める際にも「誰々さんのお気に入りは〇〇アナウンサーだから、彼女を起用しよう」というような理由で物事が決まることが多いわけだし、もしメインの出演者に「彼女はちょっと……」と難色を示されれば、すぐにでも交代させられる危険もある。

まして欧米などと違い、日本の女子アナは「30歳を過ぎると極端に仕事が減る」と当事者たちが語るように、いまだに実力本位というよりも「若くてキレイな女性」としての役回りを求められている面がある。

本来そこが非常に問題なのだが、局内有力者や大物タレント関係の「会席へのお呼び」に積極的に応じないと、たとえ人気絶大な女子アナであっても若い後輩女性アナウンサーたちにいつその座を取って代わられるかもしれない危険性が常にあるわけだ。

さらにそれだけではない。彼女たちには「フリーになるかもしれない」という状況もある。そうなると「局内有力者からお声がかかった大物タレントその他の接待先との飲み会」に参加するメリットはさらに大きいのだ。そうした席に積極的に参加し、お知り合いになり特別な人脈を作ることは、言ってみればフリーになった後も女子アナたちを一層強化し、その実力を高めることに直結する。