健康なら年100万円の“不労所得”が手に入る

【荻原】国民年金は、もらう時期を1カ月先延ばしするごとに、支給額が0.7%ずつ増額されます。「繰り下げ受給」っていうんですけど、仮に65歳でもらえる年金が月額6万円だった場合、70歳からもらうと8万5200円に増えます。1年間だと約102万円になる。でもこれは死んだらもらえません。繰り下げ受給をする場合、長生きしないと損しちゃうんです。だから、私がもし5キロやせて寿命が1年延びたら、102万円もらえる期間も延びる、ということです。「5キロやせたら100万円!」そう思ったら、ちょっとやる気が出てきました(笑)。

【鎌田】そういうことか! いい考えですね。

【荻原】やせたのは5キロ弱ですが、1年前と比べて健康診断の数値がすごくよくなりました。「危険水域ですよ」と言われていた血圧も、標準値に戻ったんです。

【鎌田】大成功ですね。

メタボになると月々の医療費負担は3万円アップ

【荻原】太ると腰やひざに負担がかかるというのは実感しましたが、メタボリックシンドロームになる危険性も高まるんですよね。

【鎌田】そうです。メタボリックシンドロームって「内臓脂肪症候群」ともいわれるんですよ。脂肪は脂肪でも、内臓につく内臓脂肪が悪さをするの。

【荻原】指でつまめるのが皮下脂肪、内臓についておなかがパーンと盛り上がるのが内臓脂肪、ですよね。

【鎌田】そのとおり。内臓脂肪は、皮下脂肪よりもはるかにタチが悪いんす。ぼくが80キロにまで体重が増えたときも、内臓脂肪がすごかった。当時の写真を見ると、おなかまわりがはち切れんばかり。あれはかなり危険だったと思います。

【荻原】いわゆる「リンゴ型肥満」ですよね、男性に多い肥満のタイプ。女性の場合は皮下脂肪が多い「洋ナシ型肥満」で、内臓脂肪はつきにくいと聞きますが……。

【鎌田】女性も更年期以降は内臓脂肪がつきやすくなりますから、要注意です。

【荻原】そうですか! やっぱり太ってはいけませんね。

【鎌田】内臓脂肪が増えると、体にいろんな悪さをするんです。血液中のコレステロールや中性脂肪が増えて血液がドロドロになる「脂質異常症」や、糖尿病の原因になる「高血糖」、そして「高血圧」です。そのせいで心筋梗塞や脳梗塞、大動脈瘤りゅう、腎機能の低下などが起こりやすくなります。脂肪肝にもなります。脂肪肝は肝臓がんの原因になるんです。

【荻原】メタボにならないことは、お金の面でもとても重要ですよね。たとえば厚生労働省の調査では、メタボの人はそうでない人に比べて医療費が余計にかかることがわかっています。60代の女性の場合、年間10万円以上の差が出るそうです。

【鎌田】医療費が10万円以上増えるということは、健康保険が3割負担だとして、1人あたり年間3万円以上負担が増える計算になりますね。