「電話に出るのが怖い」と悩む若手をバカにしてはいけない理由

部下がなかなか電話をとってくれない――そんな悩みを持つ管理職が増えている。今、若い人を中心に「電話恐怖症」が広がっているのをご存じだろうか。なぜ彼らは電話が嫌いなのか。どうしたら電話に出てくれるのか。専門家に聞いた。

電話の受話器
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電話を使うとき汗をかく、動悸がする

産業カウンセラーを務めていた私が「電話に出るのが怖い」という理由で退職する若手社員がいると聞いたのは、2015年のことでした。

初めはにわかに信じられませんでした。退職理由には本音と建前が入り混じるのが当然ですが「それにしても“電話”を理由に会社を辞めるかな」と思いました。別の会社の人事担当者にも聞いてみたところ、さもありなんという顔で「うちでもありますよ」と言われて、衝撃を受けたのを覚えています。

それからは同様の相談が次々と舞い込むようになり、事態の根深さを認識しました。19、20年卒の新卒社員を対象にした調査では「友人と連絡を取る際に電話を使用する人」は、わずか1%にすぎないという結果が出ています(2020年卒マイナビ大学生のライフスタイル調査)。

電話を極度に嫌う、恐れる。電話を使わなければならない場面に遭遇すると、汗をかいたり、動悸がするなどの身体症状が出る。あるいは不安になったり、焦りや恐怖心がつのるといった心理症状が出るのです。こうした傾向を、心理カウンセラーの界隈では「電話恐怖症(telephobia)」と呼んでいます。

まだ正式な病名としては承認されておらず、社会不安の一種として位置づけられていますが、会社を辞めなければいけないとか家から出られないなど、社会生活がスムーズに営めないまでになっているなら、病的な部類に入ると思います。

そこまではいかなくても、電話を極端に嫌い敬遠するために業務が滞ったり、効率性が著しく低下したり、誤解が生じて人間関係に不都合が生じている事例はかなり多そうです。本稿ではこうした傾向が生じている原因を考え、職場がどう対処すべきか、当人がどう乗り越えたらいいかを考えていきます。