問い自体は実に簡単。しかし、いざ自分自身に誠実に向き合おうとしたとき、一種の気恥ずかしさが生じることもあるし、「こんなことをして何になる?」といった疑念が浮かんでくることもある。さまざまな心理的抵抗が生じてきてペンを止めてしまいたくなるのを感じるだろう。

場合によっては、これは自分の「黒歴史」の発掘であり、また「寝た子を起こす」作業でもあるからだ。なかなかしんどいのである。

Z世代にシャドウワークが支持される理由

シャドウワークは簡単なようでいて、案外しんどい。自分自身を見つめるには勇気がいる。なのに、なぜ、こんな面倒で、場合によっては地味な作業が若い世代に支持されるのだろうか。

国際的にも活躍する、23歳のある女性ラジオパーソナリティは、その理由をこんなふうに分析する。

彼女は、とくに学生時代にコロナで十分な近しい人間関係を形成できなかったという。その一方で、SNSでは10歳も離れた人たちが華やかな活動をしていることを否応なく目にさせられてしまう。

どう受け止めればいいのか。

自分と折り合いをつけるスキル

自分自身の焦りや不安とどう向き合うべきか。そして自分のコンプレックスとどう共存していけばいいのか……。若い世代は身近な先輩や後輩との関係がないままで自己形成せざるを得ないのである。

コロナ隔離=学生時代の世代に限らずとも、以前に比べて濃密な人間関係を結ぶのが難しくなっているのは確かで、その中で自分自身を定位するのがかつてよりハードになっているというのはわかる気がする。

そんな中で、あえて自分で自分に向き合う作業、さまざまなかたちで日記をつけたり、自分の想いを自由に表現したりする「ジャーナリング」が流行しているというのだ。