Q 子供を「ご褒美」で釣ってもいい? A 効果的なやり方は…
何も言われなくても自分から勉強に取りかかれる子はなかなかいません。少しでもやる気になってほしいと、ご褒美で勉強をするように仕向けることもあるのではないでしょうか。
なかには、ご褒美で釣るのはよくない、と後ろめたく思っている方もいるかもしれません。しかし、私はご褒美で釣ることは決して悪いことではないと思っています。経済学の研究によると、子供のうちに勉強しておくことが将来の収入につながることがわかっています。親が上手に手助けすることで机に向かうことにつながるのです。
では、どんなご褒美が効果的なのでしょうか。
①テストで良い点を取ったらご褒美をあげる。
②本を1冊読んだらご褒美をあげる。
この二つのやり方ではどちらが効果があると思いますか。
ハーバード大学のローランド・フライヤー教授の研究によると、後者のような「本を読んだらご褒美をあげるよ」「宿題を終えたらご褒美をあげるよ」といった具体的な“インプット”にご褒美をあげた子供たちの学力が顕著に上昇することがわかりました。一方で、「テストの点数が上がったらご褒美をあげるよ」といった結果=アウトプットにご褒美を与えたグループの学力はまったく改善しなかったのです。
理由を考える鍵は、インプットにご褒美をあげた子供たちは、何をすべきかが明確なため行動に移しやすかったということでしょう。「テストの点数が上がったらご褒美」と言われても、何をしたらいいかは示されていません。具体的な行動に移せなかったり、学力を上げる効果のないことをがんばってしまったりしたのでしょう。
それでは、ご褒美には、どんなものを与えるのがいいのでしょうか。
シカゴ大学のスティーヴン・レヴィット教授の行った実験では、小学生にはお金よりもトロフィー(400円ほどの安物)のほうが大きな効果があったことがわかっています。子供が喜ぶような目に見える具体的なご褒美が、特に小さい子供の場合は効果があるようです。一方、中高生などでは金銭のほうが効果が大きいことがわかっています。
また、「宿題を終えたらご褒美」というのと、「次の誕生日が来たらご褒美」とでは、前者のほうが有効です。人間には、目先の利益が大きく見えてしまう性質があるからです。
以上から、効果的なご褒美の設計は、「インプット」に対して、すぐにあげるというのがよさそうです。