「受験は子どもの受験、人生も子どもの人生」
なぜ、「遊び」が楽しいのか?
また、中学高校に入学した先輩たちが、一見、辛いとも思える部活や学校行事を頑張れているのか?
その共通点は自発的な行動であることと言えます。中学受験を始めた当初は、親や先生の言う通りに動くことばかりを求められた部分もあるでしょう。それは、年齢的にもしかたがないことだと思います。
しかし、ここまでご家族も含めて、さまざまな苦難を乗り越えてきたから、入試直前を迎えられているのも事実です。
ある受験生のお母様の言葉で、「受験の伴走がうまくいかずに、毎日悪戦苦闘の毎日でしたが、あるとき、悟りを開きました(笑)。その悟りとは、“この受験は子どもの受験。そして、人生も子どもの人生”ということです。怒ることも少なくなり、良い入試を迎えられたと思います」というのがあります。
この後に、「親子げんかをする暇があったら、勉強してほしいなという欲もありましたので、完璧な悟りではありませんでしたが」というオチがつきます。
ここまでの道のりは平坦ではなかったと思います。私の好きな言葉で、「あなたは、アスファルトの道ではなく、歩きにくい泥だらけの道を歩いてきた。でも、その道には泥であるからこそ、しっかりと足跡が残されている」というものがあります。
大人がブレーキを踏まないように注意
「必要に迫られたから」というのは、大きな動機づけになるものです。
過去問等を分析すると「あと○点で合格できるかもしれない」ということが見えてくるのは直前の時期です。点数だけではなく、「途中式を書かないと」「字をきれいにしないと」「計算間違いは許されない」と、今までいくら注意されても聞き流していたことが実感となり改善できるのが、この時期です。
「今まで一生懸命やってきてだめだったのだから、あと○日ぐらいやっても難しいのではないでしょうか?」というご相談を受けたときは、日程も迫っているので、「親がそういう気持ちだったら、難しいでしょうね」と少し厳しめに言うことがあります。
受験生が、ようやくアクセル全開で頑張り始めようとしたときに、大人がブレーキを踏んでしまうと、車ならスピンして事故になってしまいます。
ゴールが迫ってきた今だからこそ、大きく伸びます。そして、今まで頑張ってきたことも事実です。
「自分には無理」というブロックを外す
入試当日、お子さんは、かばんに筆記用具と受験票、そして、期待と不安を背負いたった一人で試験会場に向かうことになります。当然ではありますが「試験会場では誰も助けてはくれません」。
しかし、会場に入る直前までは「合格をともに勝ち取る味方」として大人の果たす役割は重要です。
生まれてはじめての受験本番ですし、前受け受験で合格があろうと緊張しない受験生なんていないでしょう。さらに、第一志望については、決して楽な受験ではないはずです。
子どもに強い気持ちで本番を迎えさせるためにも、「そんなことは自分には無理だろう」「できるわけがない」という思い込み(心理学用語ではメンタルブロック)を外すための事例収集は必要です。
たとえば、陸上スポーツなどで、それまではなかなか破られなかった100メートル走10秒の壁を破る記録を誰かが出すと、次々とそれを破る選手が出てくるように、他の人の成功例を見ると「自分にもできるかもしれない」という気持ちがもちやすくなります。
「この偏差値では合格できないだろう」という迷いや不安があったときには、ベテランの塾の先生などに成功事例がないか、また合格体験記などにうまくいった先輩がいないかを探してみてください。
きっと、勇気と元気につながるのではないでしょうか?