王者ナイキはどう対抗するのか
最近はアディダス、アシックスらに押され気味のナイキだが、世界の舞台では結果を残している。昨年9月のベルリンマラソンで「アディゼロ アディオス Pro EVO 1」を履いたティギスト・アセファ(エチオピア)が2時間11分53秒の世界記録(当時)を打ち立てて、関係者を驚かせたが、今年10月のシカゴマラソンでその記録を今度は「ナイキ アルファフライ 3」を着用したルース・チェプンゲティチ(ケニア)が2時間9分56秒という驚異的なタイムで塗り替えたのだ。
ナイキが現在販売中の最新レーシングシューズは「アルファフライ 3」と「ヴェイパーフライ 3」というモデルだ。しかし、ナイキは水面下で「ヴェイパーフライ 4」と思われる一般発売前のモデルを一部選手にプッシュしているようで、その影響がどれぐらいあるのか。
それから前回の箱根駅伝で3人が着用したオンにも注目したい。全日本大学駅伝は5人の選手がオンのシューズで出走。国内ではまだ未発売の「Cloudboom 4」というモデルを着用した駒澤大・篠原倖太朗(4年)が7区で青学大・太田蒼生(4年)、國學院大・平林清澄(4年)らを抑えて、ハイレベルの区間賞をゲットした。
また全日本大学駅伝では3区でトップを突っ走った青学大・折田壮太(1年)、創価大・吉田凌(4年)という実力者もオンを着用していた。ふたりが使用していたシューズがまた斬新だった。今年7月に発表した最新テクノロジーを搭載した「Cloudboom Strike LS」というモデルになる。
自動化されたロボットアームで素材をスプレー噴射することで、接着剤フリーのつなぎ目のないアッパーを実現。超軽量の立体成型のため、極薄でシームレスなつくりで靴紐なしで着用できる。とにかく足へのフィット感が抜群で、サポート性を発揮。インソールも中敷きもなく、足が直接ハイパーフォームに接するため、エネルギーのロスも少ない。ビジュアル面でも目立つ“近未来シューズ”で快走する選手が出てくると一気に話題になりそうだ。
王座奪還を目指す駒大のキーマンとなる佐藤圭汰(3年)もオンを着用する可能性が高い。前回はシューズシェア率が1.2%(3人)だったブランドが、箱根駅伝2度目の登場で強烈なインパクトを残すかもしれない。