アディダスは8万円スーパーシューズに注目
前回の箱根駅伝は青山学院大が往路をぶっち切ると、復路も独走。優勝の立役者となったのが、花の2区で区間賞を獲得した黒田朝日と、3区で日本人最高記録を叩き出した太田蒼生だ。このふたりは8万2500円(税込)のスーパーシューズ「アディゼロ アディオス Pro EVO 1」で爆走。従来のレース用シューズより40%軽い片足138g(27.0cm)という超軽量モデルが彼らのポテンシャルを引き出した。
「抜群に軽さが違っていて、履いていても、シューズが気にならないくらいに軽いんです。僕はなかなかすごいペースで入ったんですけど、後半に何回も仕掛けることができた。脚に余力があったのは、シューズのおかげでもあるのかなと思います」と太田は振り返っている。
「アディゼロ アディオス Pro EVO 1」は大量生産が困難なモデルで、前回大会の着用者は3人しかいなかった。徐々に有力選手への提供も進んでおり、着用者が大幅に増えそうだ。今大会でもレースの命運を左右する存在になるかもしれない。
アディダスは最新のレーシングモデル「アディゼロ アディオス プロ 4」を11月27日、世界に先駆けて日本国内限定で先行発売した。箱根駅伝ではこちらが主要モデルになるだろう。また國學院大のエース平林清澄(4年)はさほどソールが厚くない「アディゼロ タクミ セン ナイン」を愛用している。
アディダスは2025年の箱根駅伝で「ブランドシェアNo.1」を目標に掲げているが、正月決戦の前哨戦ともいえる11月の全日本大学駅伝(関東15校)のシューズシェア率はナイキの32%に迫る28%だった。
前年(59%)を27ポイントも下落したナイキに対して、アディダスは前年を8ポイントも上回った。またプーマも前年の6%から17%に伸ばしている。
プーマは全日本大学駅伝での着用者が2021年0人、2022年3人、2023年10人、2024年22人と右肩上がり。箱根駅伝でも着用者が倍増するだろう。山口智規(早稲田大3)、斎藤将也(城西大3)、青木瑠郁(國學院大3)、馬場賢人(立教大3)らレースのカギを握る選手が着用予定で、新たなドラマをつくるかもしれない。