実はパソコンを仕事で使っている人は多くはない

小中学校でプログラミング教育が必修化されたといっても、世の中の多くの人にとっては、日常的な仕事でプログラミングの必要性を実感することは少ないだろう。

総務省の2023年の「通信利用動向調査」によれば、個人がパソコンでインターネットを利用している割合は全年齢で47.4%に過ぎない。

一方、2024年3月の内閣府の消費動向調査(総世帯:主要耐久消費財の普及・保有状況)によれば、パソコンの保有状況は全年齢総世帯で70%となっているから、家には親や配偶者が使っているパソコンがあるが、自分はそのパソコンは使わない、という人がかなり多いということになる。

家にあるパソコンを使わないということは、仕事でもパソコンを使っていないことも多いと思われ、当然、仕事としてのプログラミングができるはずがない。

現状は、仕事にプログラミングが必要かどうかとは関係がなく、そもそも仕事でパソコンを使っている人が多数派というわけではないのだ。

会議でパソコンを使用する人
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Excelのデータ処理はある程度自動化できる

とはいえ、パソコンを仕事で使っている人が多数派ではないとしても、プログラミングが必要ない、という話ではもちろんない。

ただし、プログラミングを仕事で使うためには、三つの大きな問題がある。

一つ目は、どんな場面でプログラミングを使えばいいのか分からない、という問題で、二つ目は、どんなプログラミング言語・環境を使えばいいか、という問題、三つ目は、そのプログラミング言語をどう学び、環境をどう構築するか、という問題だ。

一つ目のプログラミングを使う場面だが、多くの企業や組織ではWindowsが標準のパソコンであり、データの集計や整理にはMicrosoftのExcelを使うことがほとんどだろう。

そして、Excelの手作業で行っているデータコピーや、データの整形、突合といった処理は多くの場合、比較的簡単にプログラミングである程度、自動化できる。

例えば、複数の営業所から毎日上がってくるExcelの営業日報から、数字を拾って全体の集計表を作成する、といった作業や、Excelにある何千人もの顧客リストのスペースで区切られた姓名を別々のセルにそれぞれ格納するといった作業、学校の先生が、小テストの点数表と生徒のリストを一つのExcelファイルにまとめるといった作業、といったものがプログラミングの対象になる。

こうしたExcelを使ったデータ処理は、意外と多い。