脳には些細な記憶も残っている
1933年、今度はペンフィールドが驚くべき発見をした。癲癇患者の側頭葉を電気刺激していたときのことだった。患者が突如、過去に見聞きしたことを再体験するのを目の当たりにしたのだ。ペンフィールドは当時の驚きをこう回顧する。
意識のある患者の口から、こうしたフラッシュバック現象を初めて告げられたとき、私は自分の耳が信じられなかった。その後も、同じような例にぶつかるごとに、私は驚異の念に打たれた。
〔中略〕ある若い男の患者は、自分は小さな町で野球の試合を見物しながら、小さな男の子が塀の下から観客席へ這い込もうとしているのを見守っている、と告げた。
別の患者は、公会堂で音楽に耳を傾けていた。「管弦楽です」と彼女は説明し、いろいろな楽器を聞き分けることができた。このように、ささいな出来事が細部に至るまで完全に思い出されるのだ。(『脳と心の正体』60頁)
実は、すでに私たちが忘れてしまった(と思い込んでいる)ささいなものでさえ、脳にはちゃんと存在しているのである。
さて、先のヘブのもとで学んでいたのは、博士課程の学生ブレンダ・ミルナーだ。彼女の研究は、のちの記憶研究に大きな影響を与えることとなる。
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