「管理」と「放任」の絶妙なバランス

共働きといっても、両親は僕を放任していたわけではないんです。「勉強しなさい」と言われることはけっこうありました。

ただ、言うタイミングが上手かったですね。誰でも遊びの最中に「勉強しなさい」って言われたら嫌じゃないですか。でも両親は、僕がゲームに夢中になっている間は放っておいて、一段落してだらだらし始めたら「そろそろ勉強しなさい」と声をかける。そんな感じで、僕が言われたら渋々にでも納得せざるを得ないタイミングで言い出すわけです。

といっても、小学校高学年になると勉強もそれなりに難しくなってくるので、一緒に机に座って問題を解くようなことはありません。たまに現れて「勉強したら?」と言って去るといった風に、上手に僕をマネジメントしていたと思います。

そうそう、余談なんですが、QuizKnockのみんなを見ていると、やはり親の影響は大きいなとは感じますね。教育に携わっている人が多い。須貝(駿貴)なんてお父さんは学校の先生だし、そうか、鶴崎(修功)もそうですね。

「学びへのマインドセット」を提供したい

今まで話してきたようなことって、なんというか、具体的なメソッドじゃないですよね。僕は親から勉強法とか時間の使い方を叩きこまれたわけじゃなくて、育った環境によって漠然としたマインドセットを手に入れ、それが今も活きているんです。

具体的にいうと、「学ぶことは楽しいんだ」という信念とか、自発的に課題を探そうとする癖とか。

ちょっと残酷ですけど、そういう環境によるマインドセットって、手に入れるのは簡単ではないと思います。他者依存の要素も多いし、運も絡むので。

お金なら、コツコツ働くとか、ビジネスを成功させるとか、ある程度論理性の中で増やしていける。勉強法とか単なる知識なら、本を買って読めばいい。

でも、マインドセットはお金では買えないんですよ。なにかのセミナーにちょっと参加したとしても、簡単に手に入るものではない。その意味では、学びへのマインドセットを手に入れられた僕は、とても恵まれていたと思います。

そして、そのマインドセットこそが、僕がQuizKnockで多くの人に伝えたい、もっというと「実装したい」ものなんです。

QuizKnockが伝えたいのは、勉強法や知識だけじゃないんです。いや、もちろんそういうことも大事だし、僕たちの活動で新しいことを知ってくれたらすごく嬉しい。だけど、僕が本当に身に付けてほしいのは、学びへのマインドセットです。