ジャパンタクシーと同じくらいの広さ
トヨタがジョビー・アビエーションとの協業を始めたのは2019年だ。2020年には3億9400万ドルを出資、同時にトヨタ生産方式を土台にした生産技術などの移転、電動化部品の供給を始めている。その後も追加出資を重ね、累計投資額は9億ドルとなっている。
ジョビー・アビエーションの従業員数は2000人で、事業はeVTOL(電動垂直離着陸機)の開発、製造と空のタクシーサービスの運航だ。
機体を製造するだけのメーカーではなく、乗客を乗せて輸送するサービス事業の会社でもある。
さて、11月2日には試験飛行の動画を視聴するだけでなく、機体の実物を見ることもできた。また、設計思想などのプレゼンテーション、部品の展示、そして、フライトシミュレーターでの模擬操縦に挑戦することができた。空飛ぶクルマの全貌を公開するイベントだった。
ジョビー・アビエーションのeVTOLは全長が6.4mで、翼の長さは11.9m。座席はパイロットを入れて5席。航続距離は最大160kmで、巡航速度が時速320キロである。人が乗り込むキャビンだけだとトヨタのジャパンタクシーと同じくらいの大きさだった。
東名高速で1.5時間の距離が「たった25分」
同機は高さ500メートルくらいまで上昇することができる。ただ、実際の飛行では地表から100メートルまでの高さで運航するという。そして、東富士研究所のある裾野市から都心までの飛行時間は約25分。通常、裾野市から陸路で東京まで移動すると、東名高速を利用しても1時間30分はかかる。休日であれば東名高速が渋滞してしまうから、3時間かかることも稀ではない。実用化され、商業運航が開始されれば「乗りたい」と思う人は確実にいるだろう。
当日、カリフォルニアに本社があるジョビー・アビエーションからは多数のエンジニアが来日して、報道陣、関係者への説明にあたっていた。
同社は24年末までに4機目の試作機を制作中。いずれは量産して年間500機を生産するという。そうなれば文字通り、「空飛ぶタクシー」として各国で使われるようになるのではないか。
2025年にはドバイで商業運航が始まる。利用料金はまだ決まっていない。同社幹部は報道陣の質問に答えて「できればウーバーのブラック(プレミアム)サービスと同程度にしたい」と言っていた。いくらになるかは推測もできないが、少なくとも法外な価格ではないことだけはわかる。また、来年の大阪万博でデモフライトすることもほぼ決まっている。