昇給ばかりを要求する労働界

自動車工業とともにドイツ経済の両翼を成す化学工業は、先行して業績の不振を経験している。2022年2月に生じたロシアショックに伴うガス価格の高騰で生産コストが急増し、競争力を失ったためだ。ドイツ最大の化学メーカーであるBASFは今年8月に、本社を置く都市ルートウィヒスハーフェンにある3つの施設を閉鎖するなどしている。

ウォルフスブルクのフォルクスワーゲン工場
ウォルフスブルクのフォルクスワーゲン工場(写真=AndreasPraefcke/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

このように、ドイツ経済の両翼を成す工業が不振に喘いでいるにもかかわらず、先に述べたIGメタルが賃上げストを行うことが物語るように、労働界のスタンスは強気である。またIGメタルは、現状の企業業績だとその実現のハードルはかなり高いにもかかわらず、賃金を据え置くかたちでの週休三日制の導入にも野心的であることで知られる。