「小ささ」に不安を抱える男性が多い?
まったく驚くべき結果ですが、これは自己申告の影響でしょう。同一人物でも、通常時より勃起時の偏差値が高くなっているのです。計測値が1センチ長いと、勃起時の偏差値は6上がるので、2センチ長くなると、偏差値は12上がることになります。これは、膨張率が高い、つまりしっかりと勃起できていることを示している可能性もないとはいえませんが、かなり怪しい……。日本人男性は、やはり自分のペニスを少しでも大きく見積もりたいのでしょう。
一人ひとりは、たぶん、ちょっとだけ大きくしてみたということなのかもしれませんが、結果、世界の平均値を大幅に凌駕して、2センチも大きくなってしまったのです。
なるほど、ペニスのサイズの平均値を正確に出そうと思うと、容易ではないことがよくわかります。アメリカのカリフォルニア大学の研究論文にも、「通常状態のペニスと勃起したペニスのサイズを測る場合、自己測定によって勃起時のサイズを測ると、精度は驚くほど低くなる」とありました。勃起時のペニスのサイズを男性が自分で正確に測るのは、ことほどさように難しいのでしょう。
個人を特定できないインターネットでの質問でも、多くの男性が、本当のことは言いたくないのか、あるいは事実を直視することを避けてしまうのか。もしかしたらこれは、「自分のペニスは小さいかもしれない」と思って、密かに不安を抱えている男性が多いことの表れかもしれません。
過大申告のわりに「ペニスの悩み」は71%にも
さらにこのアンケートの結果を見ると、長さだけでなく、太さの偏差値が高いことも気になります。実際の研究では、欧米人と日本人の太さはそれほど差はないといわれているので、やはり、このアンケート結果はかなり怪しいことになります。
まあ、このアンケートは、医学的研究が目的ではありませんし、日本人男性の多くが、自分のペニスがほかの男性や世界の男性と比べてどの程度の大きさなのかを知らない、つまり客観的評価ができないため、世界標準を大きく上回ってしまうことを知らずに、自分のペニスの長さを申告してしまったと考えると、これはこれで、かなり興味深い結果といえるでしょう。
次の質問は、「現在、ペニスについて悩みがありますか?」というもの。
この質問に「はい」と答えた人は、実に71%。
サイズを大きく申告した人は、「ペニスに悩みなどない!」と強気で答えるのかと思ったら、予想外に弱気な回答。長さも太さも世界の男性に引けを取らない、いや、それどころか、世界に誇れるほど大きいと回答したはずなのに、この質問の回答では、ペニスに悩んでいる男性が大多数。悩みのない人のほうが少数派。本書の第1章で紹介したカリフォルニア大学の研究結果では、悩んでいる男性はたったの14%だったのに、です。