これだけ顧客に愛されているネッツトヨタ南国であるが、過去には大きな試練を乗り越えなくてはならなかった。1999年頃、景気低迷の影響でネッツトヨタ南国が業績不振に陥ったときのこと。「顧客満足度は高いのに売り上げがあまりついてこない」状態になったのだ。高いサービスがそのまま売り上げにつながらない。他ディーラーがネッツトヨタ南国をそのまま手本にできないのもそんな「危険」を察するためだろう。

当時の幹部にも迷いが生じた。積極的な勧誘をしないのが原因なのではないか。これ以上の業績悪化を食い止めるため、現場で顧客に購入を強いたり、価格交渉などを求める「新たな顧客」も獲得すべきではないのかと、一部の幹部が考えはじめたのだ。

売ろうとしないのになぜ売れるのか

顧客が不満に思っている価格面を解消し、営業マンのノルマ制を導入すべきか、それとも今まで通りの販売を続けるべきか。大原はこう言う。

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「問題対処型」より「問題発見型」へ

「あの当時、売り上げが思っていたほど伸びなかったことから、会社の中に2つの方向性が混在してしまったのは事実です。しかし、ネッツトヨタ南国は、普通の会社に戻ることよりも、より自分たちの強みを徹底的に追求することにしました。短期的な売り上げ減は覚悟して、『安く』『便利』ではなく、もっと『いつでも』『みんな』『親切』を貫くことにしたんです。

お客様の口から出る不満を解消するだけではなく、当社では『経営品質』の強化に重点を置くようになったのです。つまり短期的な売り上げをそれほど気にすることなく、車検や点検、買い替えなど、顧客とより長く、より密接に付き合うことで利益を生めるようにと考えたのです」

その「経営品質強化」実現に不可欠なのが、従業員間の連携だった。一致協力して顧客に尽くすことは、同時に働く側全員の満足や、仕事のやる気にもつながった。