式場費・火葬料は、運営母体が民営(Bさん、37万円)と公営(Aさん、12万円)では数倍の差が出る。ただし、人気の公営式場は予約が集中するため、安置日数(公営施設の場合は3日間で1万円あたりが目安)が延びる可能性も考慮したい。
会葬御礼品や香典返しは、[品物のランク(価格)]×[数量]という計算になり、内容を吟味したAさんはここでもBさんより18万円節約。Bさんは霊柩車とマイクロバスの車代にも8万円費やしたが、火葬場併設の式場施設を使ったAさんは不要であった。
運転手や配膳係へのいわゆる「心づけ」は悪しき習慣とも言われているが、特に東京では根強く、現時点では必要経費として考えておく必要がある。ただし公営の施設を利用した場合は、施設職員への心づけがいらず、Aさんはここでも2万円ほど節約できた。
結果、Bさんの総費用は182万円、Aさんは84万円。各項目に対して、ランクや数量に無駄がないか考えるだけで、約100万円もの差がついたのである。
09年、イオンが小売業で初めて葬儀ビジネスに参入したというニュースが記憶に新しいが、その後、SBI証券のグループ企業であるSBIライフリビングも葬儀ビジネスを開始、現在、ファミリーマートも参入を検討している。大手企業の参入により、消費者にとって今後さらに葬儀が身近になっていくだろう。
10年が葬儀への意識が変わった年なら、11年はその意識を具体的にするのが賢い消費者のあり方ではないか。一歩進んで「自分が当事者になったらいくら用意すればよいか」を把握しておく。これだけで大幅に節約できるのが葬儀という「消費活動」なのだ。