退職金の運用でもっとも危険なのは銀行に相談すること
退職金などまとまったお金をそのままにしておくのは「もったいない」と思ってしまいがちです。少しでも利率のいいものに預けたい。できれば運用をして増やせたらいいな。これは当然の心理です。
とはいえ、それまで運用の経験がないときは、誰かに相談したくなるでしょう。そこへ銀行から電話がかかってくるのです。証券会社は敷居が高い人でも、銀行は身近な存在ですから、つい相談に出かけてしまいます。これがもっとも危険なパターンです。
銀行に行くと支店長などが出てきて、窓口ではなく奥にある個室へ通されます。特別待遇のようで、ちょっといい気分になります。
そこで勧められるのが、「退職金特別プラン」や「外貨建て保険」「変額保険」「投資信託」「ラップ口座」などです。
結論から言うと、どれも手数料が高く、ダメな商品ばかり。やめたほうが賢明です。
たとえば、「退職金特別プラン」は、定期預金と投資信託がセットになった商品です。
定期預金の金利は7%です。通常の定期金利が0.025%程度であることを考えると、非常に高い金利です。しかし、小さい字で「3カ月」と書かれています。
「退職金特別プラン」は最初からマイナススタート
ここを見落としてはいけません、7%は3カ月間だけで、その後は一般的な定期預金と同じ0.025%の金利になるのです。
投資信託のほうは、購入手数料が2%で、信託報酬は2%です(これは一例で、商品により異なります)。
定期預金で7%の金利がつくプランは、投資信託と定期預金を半分ずつで購入することになっています。
このプランで、定期預金500万円、投資信託500万円を購入したとします。
定期預金は年7%の利息ですから、500万円×年7%×3/12カ月=8万7500円です。約9万円の利息がつくならいいように思えます。
一方、投資信託は購入手数料がかかります。500万円×手数料2%=10万円です。
つまり、「退職金特別プラン」は、最初からマイナスのスタートになるわけです。その後の預金はほとんど増えない状態です。
投資信託は信託報酬(投資信託を運用・管理してもらうための費用)が2%くらいあるため、運用は2%以上のパフォーマンスを出さないと増えません。2%を下回れば、運用成績はマイナスになります。