銀行には相談しない、近寄らない

ラップ口座はもっと手数料や信託報酬が高くなることがあるので、増える見込みはより小さくなります(ラップ口座というのは、金融機関に投資信託の商品の運用を任せるサービスです)。

ちなみに、新NISAの「つみたて投資枠」にある投資信託は、手数料がゼロです。信託報酬の上限も決まっていて、国内資産は1%以内、一部の海外資産は1.5%以内となっています。いま人気の投資信託・eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は0.05775%です。

信託報酬が安いほど、長期投資に向いていると言われています。

銀行で扱っているのは、手数料が高い商品が中心です。資産運用に関しては、銀行には相談しない、近寄らないのが一番です。

退職金は「一時金」と「年金」受け取りのどっちが得か

退職金の受け取り方について相談を受けたことがあります。

一時金で受け取ったほうがいいか、年金形式で受け取ったほうがいいか。この2つで、迷っているというのです。

これは退職金の受け取り方で、税金(所得税・住民税)が変わってくるからです。つまり退職金は受け取り方によって、手取り金額は変わるのです。

退職金を一括で受け取ると、退職所得控除があり、一定額まで非課税で受け取れます。退職所得控除は勤続年数で控除額が変わります。

退職金を年金で受け取った場合には、公的年金等控除があります。公的年金等控除は、65歳未満と65歳以上では控除額が変わります。

ほとんどの場合、一時金で受け取ったほうが手取り額としては得になります。退職所得控除の税制優遇のほうが大きいからです。

年金で受け取った場合には、公的年金等控除が使えますが、所得が増えることで所得税、社会保険料なども増え、実質の手取り額が減ってしまいます。退職所得控除を超える分は年金で受け取るという、一時金・年金の併用がよい場合もあります。

多くのFP(ファイナンシャルプランナー)がこのように答えるでしょう。

ただ、退職金は一時金より年金で受け取ったほうがよいのではないかと、私は考えています。

長尾義弘『投資ゼロで老後資金をつくる』(青春出版社)
長尾義弘『投資ゼロで老後資金をつくる』(青春出版社)

一時金で受け取った何人かに、退職金の使い道を聞いたことがあります。すると、「何に使ったんだっけ? 覚えていない」と言う人もいました。

無駄遣いとまでは言いませんが、一度にまとまったお金が入るとつい気持ちが大きくなり、うまく活用できなくなってしまう人が少なくないからです。

だったら、少し手取りは少なくなっても、年金で受け取ったほうが計画的に使えるのではないでしょうか。

年金形式だと、「収支のバランス」を保つために、お金を活かす使い方ができるのです。

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