何かとマウントをとりたがる人には、どう対処するのが正解なのか。ビジネスコンサルタント・楠本和矢さんの著書『人・場・組織を回す力』(クロスメディア・パブリッシング)より、「マウント人間」の対処法を紹介する――。
巨大な人物を見上げる男性
写真=iStock.com/DNY59
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承認欲求をこじらせた「マウント人間」

人間関係の中で、相手から「認められたい」という欲求、つまり「承認欲求」は、誰にでもあります。その基本的な欲求を持つこと自体は健全であり、全く否定しません。本書も、大きな視点では、その欲求を満たすためのスキルを伝えています。

ただ、気を付けないといけないのは、承認欲求をこじらせて、無理に「認められよう」としてしまうことです。そのひとつが、いわゆる「マウンティング」です。自分はそんなことしないよ、と思うかもしれませんが、気付かずにやってしまうこともありますので要注意です。

マウンティングの代表的なパターンは、以下の3つです。

①地位を誇示したいばかりに、自慢話に走る
②優秀さをアピールしたいばかりに、知識を披露したがる
③中心にいたいばかりに、自分の話しかしない

一生懸命マウンティングしても、人から認められません。そんなことをして、仮に相手から「すごいですねー」とか「さすがですねー」と、ポジティブにリアクションしてくれても、ホンネは裏腹。そんな言葉はタテマエに過ぎず、内心では不快な気持ちを持たれている可能性も大いにあります。

同じ自慢話を繰り返すという地獄のループ

あなたは、上記のような方法でマウンティングされて、愉快な気持ちになったり、相手に対して好意を持ったりしたことはありますか?

きっとないでしょう。だからあなたも積極的にそれをやらない方がいいです。

冷静に考えて、ダメそうな方法だと分かるのに、それでもやってしまうのは、マウンティングすると、「自分で自分を認めること」ができてしまうからなのです。それで相手からも同じように思われると錯覚し、知らずにエスカレート。そして最悪なのは、その人にアピールできるような新しい実績や強みの獲得がなく、ネタ切れとなり、何度も何度も同じ話をされ続けるという地獄。

アピールできる実績の有無に関わらず、もっと健全な方法で「承認欲求」を満たすことはできないでしょうか。別の方法があるならば、自分を押し出す(PUSHする)のではなく、相手のよさや面白さを引き出す(PULLする)、つまり「回せる」存在になることで、「この人がいると違う」「この人がいると楽しい」と思われることです。

「マウンティング」と対極にある、「回す」アプローチは、いうなれば縁の下からアプローチしていく、「グランディング」とも呼べるでしょう。