承認欲求をこじらせた「マウント人間」
人間関係の中で、相手から「認められたい」という欲求、つまり「承認欲求」は、誰にでもあります。その基本的な欲求を持つこと自体は健全であり、全く否定しません。本書も、大きな視点では、その欲求を満たすためのスキルを伝えています。
ただ、気を付けないといけないのは、承認欲求をこじらせて、無理に「認められよう」としてしまうことです。そのひとつが、いわゆる「マウンティング」です。自分はそんなことしないよ、と思うかもしれませんが、気付かずにやってしまうこともありますので要注意です。
マウンティングの代表的なパターンは、以下の3つです。
②優秀さをアピールしたいばかりに、知識を披露したがる
③中心にいたいばかりに、自分の話しかしない
一生懸命マウンティングしても、人から認められません。そんなことをして、仮に相手から「すごいですねー」とか「さすがですねー」と、ポジティブにリアクションしてくれても、ホンネは裏腹。そんな言葉はタテマエに過ぎず、内心では不快な気持ちを持たれている可能性も大いにあります。
同じ自慢話を繰り返すという地獄のループ
あなたは、上記のような方法でマウンティングされて、愉快な気持ちになったり、相手に対して好意を持ったりしたことはありますか?
きっとないでしょう。だからあなたも積極的にそれをやらない方がいいです。
冷静に考えて、ダメそうな方法だと分かるのに、それでもやってしまうのは、マウンティングすると、「自分で自分を認めること」ができてしまうからなのです。それで相手からも同じように思われると錯覚し、知らずにエスカレート。そして最悪なのは、その人にアピールできるような新しい実績や強みの獲得がなく、ネタ切れとなり、何度も何度も同じ話をされ続けるという地獄。
アピールできる実績の有無に関わらず、もっと健全な方法で「承認欲求」を満たすことはできないでしょうか。別の方法があるならば、自分を押し出す(PUSHする)のではなく、相手のよさや面白さを引き出す(PULLする)、つまり「回せる」存在になることで、「この人がいると違う」「この人がいると楽しい」と思われることです。
「マウンティング」と対極にある、「回す」アプローチは、いうなれば縁の下からアプローチしていく、「グランディング」とも呼べるでしょう。