仕事のできる人とできない人は何が違うか。経営コンサルタントの堀紘一さんは「ダメなコンサルタントほど、上から目線で『教える』という姿勢が目立つ。しかし、企業の問題点がどこにあるかを考えるためには、クライアント企業の情報をたくさん集めなければならない。だから一流のコンサルタントは『教える』というよりも、むしろ『教えてもらう』という姿勢の方が自然に強くなる」という――。

※本稿は、堀紘一、津田久資『本物のコンサルを選ぶ技術』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

ビジネスディスカッション
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会社の課題や改善点は「例外」から発見されることが多い

会社を潰すコンサルの特徴①
知識や理論を振り回し、それに当てはめた見方や考え方しかしない

質の悪いコンサルタントの典型的なパターンとして、やたらと公式や理論を振りかざすというのがある。

コンサルタントとして経営戦略理論や組織論など、さまざまな理論に明るいのは当たり前のことだ。大事なことはそれらの理論や公式を踏まえて、クライアントの経営状況を正確に捉え分析し、どこにどんな問題が潜んでいるかを発見することである。

ところが、その理論と公式を振りかざし、無理やりその理屈の中に会社の状況を当てはめて、持論を展開するコンサルタントが少なくない。

そういうコンサルタントは、理論に合わない例外的な事象があったとしても、それを意図的に無視したり、あるいは気づかないでスルーしてしまう。じつは、会社の課題や改善点はその「例外」から発見されることが多いのに、だ。

小売りの世界では通常、店舗の規模が大きいほど利益率が高くなる。ところが調べてみると、店舗が小さいのにやたらと利益を上げているところがあったりする。

本来の理論にはそぐわないレアケースだからといって、このポイントを見逃すのはコンサルタント失格だ。

なんで違っているのか? この「違和感」に反応して店舗に足を運んで店長の話を聞いてみる。すると商品構成を他の店と大きく変えていることがわかったりする。

そこで新たにデータを取り、商品構成と店舗売り上げの関係を分析すると、そこにある種の相関関係があることがわかったりする。

ダメなコンサルタントは最初に理論や理屈があって、そこから外れた考え方をしない。レアケースを例外として排除し、本質的な問題を見逃してしまいがちなのだ。それによって会社をミスリードし、間違った方向へと導いてしまうことになりかねない。