都留重人先生と住友事業精神の教え

住友電気工業社長 
松本正義氏

最悪期と言われて思い出すのは、2000年初めに起こったITバブルです。もともと住友電工は歴史的に多角化・多様化を柱とする会社で、それが当社のDNAなのです。

ところが、ITバブル期に情報通信があまりに大きな存在となり、住友電工も選択と集中に傾き、光ファイバーなどの情報通信向けに走ってしまいました。そしてITバブル崩壊。03年3月期には最終赤字に転落しました。

集中と選択はこれほど恐ろしいものかと痛感しました。トップにはゴーイングコンサーン(継続企業)としての責任があり、そのときだけ良ければいいという判断はまずいのです。当時、私は常務の立場から、住友電工のDNAにある多角化・多様化を前面に押し出すべきと主張していました。今でこそワイヤーハーネスなど自動車向けが売り上げの半分以上を占めていますが、あのままITに突っ走っていたら、住友電工の今はなかったかもしれません。