自分の文章のおかしさに気づくために

この調査結果を見て私が「危険だな」と感じたのは、自分が書いた文章のどこが変であるかがわからないという人が多いということです。

上司に報告するレジュメや企画書ですから何度も読み返しているはずなのです。誤字や脱字、事実関係の見誤りといった類のミスならともかく、「主語がわからない」「文章が論理的につながっていない」ことに気づくことができず、「よし、これでOK」と意気揚々と提出してしまうのは、ある意味で怖いことだと私は思っています。しかも、そのような不完全な文書を提出して上司をイラつかせ、その指摘に自分もまたイラついているのでは、自分発信の負の連鎖です。

一方、この調査結果には出てきていませんが、40代で文章が苦手という人も大勢いるはずです。むしろ20代なら「まだ若いから」で許されるところ、40代で部下から「課長の文章、わかりにくいんですよ」などと言われたら、それこそ立つ瀬がありません。他人事ではないはずです。

自分の文章のおかしさに気づけない人は、文章を構造化して整理することができません。

書く前に構成を作る

文章を書きはじめる前にまずやらなければならないのは、まず何を書きたいのかテーマを確認し、これをもとに構成していくことです。この構築作業は頭の中でするのではなく、必ず紙に書き出したほうがいいでしょう。考えていることを文字にして可視化し、それにより整理していくことです。

まず、大きなテーマが決まったら、それを考察するためのポイントを3つほどあげてみます。たとえば、最初にあげた少子化問題について書くのであれば、その主な原因を「晩婚化や未婚化」として大きなテーマとし、その背景として①経済的な不安定さ、②女性の社会進出、③結婚に対する社会的価値観の変化――などとしてみましょう。

これで大きな構図が構築できたことになります。次に①から③に関する解説や背景、解決策などを拾い出してみると、文章全体の構成も固まってきます。あとはこれにエビデンスや自分の考えを交えながら文章にしていくことになります。先ほどの調査であがった「説明の過不足」「主語があいまい」「語彙や表現」「文の長さ」なども、陥りがちなポイントとしてチェックしてみてもいいでしょう。この流れで作成していけば、語彙や表現力などはさておき、少なくともピントが大きくズレた文にはなりません。