一方で中国側も、かなり悪化してしまっている日本の対中国感情をどうにかしたいと考えている話があります。これは冒頭にも述べました通り中国経済の急速な悪化により社会不安が増幅してしまっているので、日本を含めた諸外国に対中国投資を増やして欲しいという切実な要望があるからです。

しかしながら、うっかり日本が中国に投資をしたり、日本人が現地を訪問したり、場合によっては中国に駐在したりすると、不当に中国企業や当局に資産を奪われるとか、日本人の安全が確保されないとか、よく分からない容疑で逮捕されて起訴され長時間不実の罪で収監されたりとかの問題が起きます。

とてもではないが、中国をビジネスパートナーに選んで進出できる環境ではなくなってしまっているのです。

自民党の総裁候補の中で、まともに対応できる人は現れるのか

これは、ちゃんと対応してくれない中国共産党や中国当局の問題もありますが、実際にはそれ以上に中国に対して日本の要求を受け入れさせられるだけの交渉材料を作ってこなかった日本外交の怠慢であるとも言えます。

もちろん、中国と同じように根拠もなく誰かを逮捕したり、政府がネットを検閲したりすることはできませんが、民主主義国として可能な手段はいくつか考えられ、これからきちんと対策が講じられることを期待するほかありません。

ただ、現状では具体的な手段を執行できません。結果的に、しっぺ返し戦略を本懐とする日本において、さまざまな法規に縛られたり政治的な決断力を欠いたりして、対中国で持てる武器を持っておらず子供が死亡しても抗議するぐらいしかできないわけですよ。

23年9月、ASEANプラス3で中国の李強首相を発見した岸田文雄さんが、食べかけのランチをぶん投げてダッシュで捕まえて、中国が「汚染水だ」と主張していた処理水問題を説明する顛末がありました。それぐらいのリーダーシップを継続的に発揮しないと解決しないのではないかとすら思います。

折しも、自由民主党総裁選が行われているさなかに投げ込まれた「日中関係」の安全保障ネタ、いったい誰が上手く食らいついて対処することができるのか、注目していきたいと思うとともに、今回亡くなられたお子さまには心より哀悼の意を表したいと存じます。

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