人手不足に直面しない限り賃金が上がらない

企業規模が小さいほど賃金上昇率が高いということは、「日本では人手不足に直面しなければ賃金が上がらない」という事実を示唆している。

つまり、相対的に人手不足感が低い「ホワイトカラー職種」などは、今後も賃金が上がりにくい可能性があるだろう。

なお、毎月勤労統計ベースで雇用形態別にみると、近年はパートタイム労働者の賃金の伸びが正社員を上回っている。

相対的に労働市場の流動性が高く、人手不足感の強いパートタイム労働者ほど賃金が上がりやすく、前述の見通しを裏付けている。

これは日本では雇用形態による賃金の格差が縮小していることを意味している。

【図表】所定内給与の比較
出所=厚労省 筆者作成

賃金が上昇しなければ個人消費は増えない

賃金が上昇すれば、個人消費も増えることが分かっている。

1994年~2023年の名目家計消費と各種一般労働者の所定内給与との関係について、自由度調整済み決定係数の大きさで見ると、賃金構造基本統計調査が0.2681、毎月勤労統計5人以上で0.2932と、正の相関関係がある。

【図表】各種所定内給与と名目家計消費の関係
出所=厚労省、内閣府

逆に言うと、氷河期世代の賃金が上昇しなければ、日本全体の実質賃金もあまり上がらず、個人消費も伸びない、ということになる。