「クラブ 稲葉」
白坂亜紀ママ

そのために一番大切なものは「コミュニケーション能力」と亜紀ママは語る。伸びる人は接待の仕方、部下や店のスタッフへの振る舞い方がまず違うのだという。

「好き嫌いを言わず、どの女の子にも気持ちよく接してくれる。ご接待のときも、いろいろな子が自分の席でよいサービスをしてくれたほうが助かるのがわかっているので、まず、どのスタッフに対しても分け隔てなくよくしてくださるんですね」(亜紀ママ)

接待のとき、お客さんはもちろん、部下やお店の子まで全員が楽しめるように気配りを欠かさない。部下を連れてくるときは「お疲れ様。今日は遠慮なく飲め」という具合に、部下を接待しているのかと思うぐらい上司という顔をしないし、威張らない。部下を抑えつけず、いいところを引き出そうとしているのがわかるのだという。

「だからこそ、いざというときに『この人のために頑張ろう」と周りの人たちが一丸となることができるんでしょうね」(亜紀ママ)

そしてサービス精神にもたけている。「知識があっても1人で抱え込むようなケチくさいことはしない。誰かに教えてあげたいというサービス精神がある」(東京・銀座 クラブ ザボン・水口素子ママ)という言葉の通りだ。

これとまったく逆なのは「お気に入りじゃない女の子が来ると、手でシッシと追い払うような人」だ。接待の席で威張っていても、偉い人とはち合わせすると走っていって平身低頭する。

「裏表がないことも、夜の銀座では信頼される要因です。案外狭い世界ですから。接待で威張っている人が、自分より偉い人と出会った途端、豹変すると興ざめです」(亜紀ママ)

威張るならずっと威張るキャラでいてほしい。そういう人は案外可愛いな、と女性に思われていたりする。

「最近は部下が年上なこともあるでしょう。年長の部下を下の席に座らせて平気な顔をしている人もいますが、伸びる人は夜の席では役職は抜きで、年長者を敬える人ですよ」(亜紀ママ)