いつまでも若々しく過ごすためにはどうすればいいのか。脳トレ博士として知られる東北大学の川島隆太教授と早口ことば芸人の大谷健太さんの共著『とっさに言葉が出てこない人のための脳に効く早口ことば』(サンマーク出版)より、一部を紹介する――。
自宅で携帯電話を使用しながら笑うシニアカップル
写真=iStock.com/eggeeggjiew
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なぜ「早口ことば」が脳にいいのか?

「早口ことば」を行うことは、計算速度=頭の回転力を高める強い効果があります。

芸人さんやアナウンサーさんなど、話すことを生業にしている人は、そうでない人と比べて、やはり脳機能の働きがいいなと思います。

私は短い文章を声に出して速く読む音読が脳にいいことをずっと推奨してきましたが、そういったトレーニングは、筋トレと同じで続けないと効果がありません。続けることが何より大切なのに、人間は怠け者な一面があるから、面白くないと続きません。

その点で私が今回、「早口ことば」が脳に効くことに着目したのは、「楽しい」からです。

とっさに言葉が出てこない人のための脳に効く早口ことば』に掲載している難易度4段階、計63個の「早口ことば」は、お笑い芸人であり、早口ことば作家さんでもある大谷さんが考案したユニークなものばかりで、続けられる楽しさがあります。

難易度★★★「シカ近し! しかしシカ舌短し!」

試しに大谷さんが考案した次の「早口ことば」を文字を見ながらできる限り早く言ってみてください。難易度は4段階のうち2です。

ニラレバ2倍食べられる?
(にらればにばいたべられる?)

脳が活発に動いている感じがしませんか? こうした「早口ことば」などの簡単な文章を声に出して早く読むと、通常の速度で声を出して読んでいるときに比べて、前頭前野(思考や感情の制御や記憶の生成に係る)や側頭連合野(記憶の保持に係る)などが強く活性化します。うまく言えなくても、です。

もう1つ「早口ことば」をご紹介しましょう。難易度は3です。

シカ近し! しかしシカ舌短し!
(しかちかし! しかししかしたみじかし!)

「早口ことば」は、大勢でやるほど、盛り上がります。失敗したらしたで笑えるし、すんなり言えたときは、それはもう感動ものです。

「早口ことば」のような何かを早く行うトレーニングをし、頭の回転力が上がると、会話の中で言葉がスッと出てくること以外にも、いろいろなことがうまくできるようになります。これは「学習効果」といわれるものですが、面白いことに、トレーニングとは関係ない能力が上がることも少なくありません。