生命保険に入れと念を押した

──答えるのが非常に難しいと思うのですが、まずは野球と娘の理子の話をさせてほしいのです。

野球解説者 
東尾 修さん

野球の監督は、試合中ほとんど投手のいるマウンドには行きません。ピンチのときに行って一言だけ声をかける。どんなことをいうのかは、監督の性格にもよるし、受けるほうのピッチャーの性格でも変わる。励ますのが普通ですが、たまには怒ったり、どやしつけたり、褒めたり、自信をつけさせたり、と状況によって使い分けする。行ってちょっと落ち着かせることが大事だったりするときなど、内容はあまり関係ありませんよね。どんな名監督であっても、結局のところ、選手を信用するしかないのです。そして団体競技をすることでいつも大事だと思うのは過度な期待をしないことです。

自分は現役のときを含めて、全国を転々としていましたから、あまり理子と遊んでやることができなかった。理子は塾に行ったり、テニスをしていると聞いていたのですが、小学校4、5年生のときにゴルフを始めたのです。

ゴルフを選んだ理由がゴルフは打ちっ放しでいい。テニスはボールを拾わないとだめだからだって(笑)。

中学生のころかな、ゴルフの試合を見にいった。結果は彼女の思い通りにいかなくて、恥ずかしがり屋だったから、人に見られるのが嫌で僕の胸に飛び込んできて、悔しいって泣いてました。そのとき結果について厳しく怒ることもできたのかもしれないけれど、何もいわずに受け止めたつもりです。

高校2年生のとき、理子が日本女子アマ・マッチプレーで優勝したときも、抱きついてきて泣いてましたね。今度はうれし涙だったんでしょうけど。