見送りできずともLINEで日々の何気ないやりとり

2 こまめなコミュニケーションをとる

親の仕事としてスケジュール管理・タスク管理がありますが、共働き家庭の場合、これをコミュニケーションの機会にしましょう。ある家庭では、塾に行くときに親が見送れないので、作り置きのおかずを用意して、子どもが自分で詰めていくのですが、出る前に写真に撮ってLINEで送らせていました。

そのときの「いってらっしゃい」「いってきまーす」という何気ないやりとりがとても大事だったといいます。スラックを使ってタスク管理をしていたというお父さんもいますが、大切なのは、励ましの一言です。

仕事の業務管理とは違います。思い通りにコントロールするのではなく、頑張っている子どもとの交流の機会と捉え、温かいメッセージを心がけましょう。

3 お金と時間の使い所を考える

時短のために、家に業務用のコピー機を買い、いつでも大量にコピーが取れる環境にした家庭もあります。過酷な受験生活をできるだけ健全に乗り切るために、お金を活用したのですね。

また、「学校説明会は時間が取られるけれど、行きたい学校を見るのはモチベーションを上げる一番の方法なので、仕事が忙しくても参加した」など、あえて時間をかける選択をする人もいます。

「サポートと仕事との両立の仕方は、家庭や子どもによっても全く違うので、どこまでやるか探りながら、家族で納得できるかたちを探すのがいいと思う」と言うのは、フルタイム勤務をしながら子どもをサポートし、麻布に進学させたFさん。大切なのはやはり、どんな受験にしていくのか、わが家の軸を決めて取り組むことです。

「子どものやる気」を引き出す親の関わり方

やる気のない子どもがどうしたら自主的に勉強に取り組むか……。これは多くの親が知りたいことでしょう。最後に、子どものやる気を引き出す「親の関わり方」を紹介させてください。

子どもが勉強にやる気を持てないとき。まず親が考えたいのが、やる気が出ない理由です。やる気が出ない理由には、次のようなことが考えられます。

1 エネルギーが消耗している
2 本当はやりたくないと思っている
3 課題とスキルのレベルがあっていない
4 自分で決めていないから意味を感じられない

思い当たることはあるでしょうか? 問題を解決するには、ファクト(事実)ベースで考えることが大切です。

やる気がなさそうに勉強する子ども
写真=iStock.com/KSChong
※写真はイメージです

1 エネルギーが消耗しているのが理由なら、身体を労ってあげましょう。

睡眠は取れているか、休息は取れているか。食欲はあるか。お子さんの様子をよく観察し、無理をしているようなら、生活を見直すのです。特に新しい環境に入った5月の連休明けや、夏の疲れが出やすい秋は体調を崩しがち。

調子が悪いときには、思い切って塾をお休みするのもありですね。「ここで塾を休んだら余計遅れてしまう」と心配されるかもしれませんが、脳は余白をとったほうが活性化します。

2 本当はやりたくないと思っている場合はどうでしょう。

やらなくちゃいけないとわかっていても、「本当はやりたくない」と思っていたら、身体が反応してやる気は起きません。そんなときに、いくら叱咤激励しても、決していい結果にはなりません。それどころか、言われれば言われるほど、やる気はなくなります。

子どもの様子がおかしいときには、その行動の奥にある気持ちを考えてみることが大切です。自分に置き換えてみたら、少しはわかるかもしれませんね。